研究実績

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膝継手の屈曲を手動で制御可能な長下肢装具(GSKnee)の有用性
-三次元動作解析装置を用いたシングルケーススタディ-

キーワード:長下肢装具,脳卒中片麻痺者,歩行分析

農協共済中伊豆リハビリテーションセンター 本島直之

【はじめに】脳血管障害の下肢装具療法は脳卒中治療ガイドライン2015においても推奨されており,近年では急性期においても重度片麻痺者に対して積極的に長下肢装具(以下,KAFO)が使用される傾向にある.しかし,このKAFOは膝継手が固定されるため,体幹側屈やぶん回し歩行等が生じるという問題がある.そこで今回,これらの問題を解消するために新たに膝継手部分の屈曲を手動で制御できる長下肢装具(以下,GSKnee)を開発し,その有用性について三次元動作解析装置を用いて検討したため報告する.

【症例と方法】60歳台の男性.皮質下出血による左片麻痺にて回復期病院に入院.麻痺側下肢はBruunstrom Recovery StageⅢで中等度の感覚障害を伴い,歩行能力は杖を使用して軽介助レベルであった.計測機器は三次元動作解析装置VICON(VICON社)と床反力計(AMTI).計測課題は各装具を装着した理学療法士による後方からの介助歩行とした.計測項目は体幹と麻痺側下肢の三次元角度と関節トルクとし,各条件3~5歩行周期の平均値を比較した.

【結果】GSKnee使用時において,膝関節屈曲角度の拡大や体幹側屈角度の減少に加えて股関節トルクの伸展から屈曲への切り替わりが早期に起き,足関節底屈トルクの最大値が大きかった.しかし,踵接地での足関節背屈トルクはKAFO使用時の方が大きかった.

【考察】GSKneeを用いた介助歩行は立脚期での身体重心の前方への推進を促しやすいと考えられた.しかし, GSKneeは膝関節の固定性がKAFOより低く膝関節屈曲位での踵接地となった可能性があり,膝関節伸展を補助する機構の追加等を検討する必要性が示唆された.

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